リサーチャーはセル方式で

製造工程の手法で「セル方式」というものをご存知でしょうか?これは工程を流れ作業にして1人1工程だけ担当するのではなく、1人または1グループで最初から最後までの工程を担当するものです。このセル方式は製造現場でなくてもリサーチャーのように事務系(専門職系)にも適用できるのではないでしょうか。

例えば大手の調査会社では「調査企画」「実査」「集計」と大きく3部門に分かれているところが多いですが、実際には流れ作業のようにはいかず、案件ごとに部門間の細かいコミニュケーションが必要になります。「企画」の人なら、いっそ自分で集計までできれば効率よいのにと思う場面も多いと思います。

本来リサーチャーは調査設計から集計・分析まで全てこなせることが理想です。実際に調査員となって直接アンケートを採ってくれば、適切な質問文の作成や調査時間の感覚が飛躍的に養われます。「こんなアンケートできるわけないだろ!」と実査部門から突き返されることもないわけです。また、集計プログラムまで理解していれば、調査票設計の際、何が可能で何が不可能かが即座に判断できます。データ入力を経験すれば、選択肢に番号が振られていない複数回答の入力がいかに効率が悪く、ミスしやすいか一目瞭然です。

セル方式では少なくともひと通りの集計は企画の人が自分でできるような環境にしたいですね。もちろん部門で分けたほうが案件数はさばけるでしょうけど、エンドクライアントに対する顧客満足度は高まると思いますし、自分自身の調査に対する理解度が深まると思います。何を隠そうこの私も「調査企画」出身の人間ですが、独立してからというものほとんど集計をメインでやっていますが、企画を経験してたからこそクライアントさんにアドバイスできることもたくさんあるわけです。